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一般的に30%が目安だといわれる外食店の原価率。昨今の“コスパ志向”の高まりや原価率35%を超える高原価店の繁盛も相まって注目を集めることも増えた「原価」だが、さまざまな要素が複雑に絡み合って成り立っており、その世界は実に奥深い。原価を知ると、普段、なにげなく利用している外食店の知られざる新たな一面が見えてくる
◆「かけそば」だけの注文は死活問題という店側の本音 <立ち食いそばの原価/1杯50円>
立ち食いそば
サイドメニューで比較的原価率が高いてんぷら類。なかでもエビやイカなどの魚介類は原価率が高いといわれる 1杯250円前後から食べられる立ち食いそばは、サラリーマンの強い味方。週に何度も利用する人も多いだろうが、果たして原価はいかほどなのだろうか。
「まず、普通のかけそばの場合、1食あたりのそばの原価30~35円前後で、ダシが15円ほどになります。それに薬味などを足すと、1杯あたりの原価は50~60円になります」(某立ち食いそば屋店長)
かけそばの場合は、これを250円前後で提供するので、原価率はおよそ20~25%ほどになる。
「こうした原価に加えて、人件費や家賃などの必要経費を含めると、1杯のかけそばで得られる店側の利益は、ほとんどゼロに近いです。正直なところ、かけそばだけを頼むお客さんが続出してしまうと、店側はかなり苦しいですよ」
そこで、立ち食いそば屋の経営を支えるのがサイドメニューだ。
「てんぷらやたまご、おにぎり、いなりずし、丼ものなどをそばと一緒にどんどん注文してもらって、ようやく利益が出る計算ですね。サイドメニューの原価率もおおよそ20~30%とほとんど変わらない。おにぎりなどはてんぷらよりも原価率が低くて15%ほど。立ち食いそば屋のように一人あたりの単価が安い業態の場合は、原価率を下げたとしてもほんの微々たる額しか差が出ない。それよりは、『お客さんにいかにサイドメニューを注文させるか』という、客単価をあげる工夫が重要なんです」
長きにわたって日本人の胃袋を満たしてきた元祖ファストフードは実にシビアな原価管理のもとに成り立っている。
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